自動車の特定整備とは?自動車技術の発展に伴った新たな制度を解説

特定整備技術の新たな制度

自動車に関する近年の技術の発展は目覚ましく、世界中の自動車メーカーが、自動運転を実現するべく、研究・開発を行っています。実際に、自動運転システムを搭載した車が、公道を走る世の中となってきました。それに伴い、新たな制度も施行されており、自動車整備工場もさらなる発展に対応していく必要があります。この記事では、自動車の整備の種類や今後の工場の対応などについて解説します。

新たに「特定整備制度」が施行された背景

HONDAは2021年3月、新型レジェンドに自動運転レベル3の渋滞運転機能「トラフィックジャムパイロット」を搭載して話題となりました。2022年現在、フランスやアメリカでは自動運転レベル4のバスやタクシーが実用化されています。

世界各国がこぞって自動運転システムの開発を行っている今、車の点検や整備を行う自動車整備工場も、現状に対応していく必要があります。そのための法整備もなされており、日本では2020年、「自動車特定整備制度」が施行されました。従来の整備項目に、自動運転技術の発展に伴う新たな整備項目が追加されています。

従来の制度と分解整備について

まず、従来の制度から解説していきましょう。自動車整備士の行う整備には、以下の3種類があります。

 

  • 点検整備
  • 緊急整備
  • 分解整備

 

点検整備は、自動車整備士の基本的な業務です。日常の中での不具合や違和感に対する整備や、定期的に義務付けられている法定点検などがあります。また、緊急整備とは、事故や突然のトラブルに対応して、修理や部品の交換を行うことです。

分解整備とは、自動車の重要な部品を分解して修理や整備を行うことであり、とりわけ高い技術が必要です。自動車整備士2級以上を取得していなければ行うことはできず、工場も「認証工場」や「指定工場」の認可を地方運輸局長から受けている必要があります。以下の整備が対象となっています。

 

  • 原動機
  • 動力伝達装置
  • 走行装置
  • 操縦装置
  • 制動装置
  • 緩衝装置
  • 連結装置

 

この分解整備は、2020年の「自動車特定整備制度」の施行により「特定整備」に名称が変更されました。従来の分解整備の対象に加えて、電子制御装置も整備の対象となりました。つまり、「特定整備」には「分解整備」と「電子制御装置整備」の2種類が含まれることとなったのです。

「特定整備制度」で新たに加わった点

自動車技術の発展により、自動運転、衝突被害軽減ブレーキなどの電子制御装置や、ADAS(先進運転支援システム)を搭載している自動車が増えています。しかし、従来の整備にはこれらに関する整備項目が含まれていませんでした。そのため、従来の分解整備の範囲を拡大する形で特定整備制度が導入されました。

具体的な作業とは?

「電子制御装置整備」には、以下の具体的な作業があります。

 

  1. 自動運行装置の取り外しや作動に影響を及ぼすおそれがある整備・改造
  2. 衝突被害軽減制動制御装置(いわゆる「自動ブレーキ」)、自動命令型操舵機能(いわゆる「レーン キープ」)に用いられる、前方をセンシングするためのカメラ等の取り外しや機能調整
  3. ①・②に係るカメラ、レーダー等が取り付けられている車体前部(バンパ、グリル)、窓ガラスの脱着

 

自動運転装置そのものだけでなく、それをサポートするセンサー、カメラなども対象となっています。従来の分解整備に比べて、必要な知識や技術も増えたため、整備の難易度が高まりました。

認証工場となるには

認証工場とは、確かな技術を持つ優秀な事業所として、地方運輸局長に認証された工場のことです。特定整備制度の施行によって対象が増えたため、認証のパターンも増えました。従来の分解整備のみを引き続き行う場合は、新たな手続きの必要はありません。しかし、新たに電子制御装置整備を行う場合は、以下の手続きが必要です。

 

  • 規定の間口・奥行き・天井の高さを守った作業場面積の確保
  • 水準器・整備用スキャンツールなど、必要な道具や設備を揃えること
  • 整備主任者の講習受講(学科・実習を受講後、筆記試験)

 

認定工場になるための注意点

ただし、経過措置期間が4年あるため、直ちに対応しなければならないわけではありません。2020年3月以前に電子制御装置整備の実績がある場合、2024年3月末まではその整備を行うことが可能です。

しかし、2024年4月には適切な手続きを行い、対応しておく必要があります。今後も自動車技術は確実に発展していくと予想されるため、自動車整備工場においても、電子制御装置整備に対応することは今後必要不可欠です。

まとめ

自動車技術の発展により、整備工場も新たな技術に対応していく必要があります。そのために新たに法が施行され、整備の項目や基準が設けられています。

「久土地自動車工業」は、特定整備制度にも対応している認証工場であるため、自動運転や衝突被害軽減ブレーキ、ADASにおける整備が可能です。特定整備認証を受けておりますので、さまざまな整備内容に対応することができます。日頃安心して運転するためにも、不具合や気になる点があれば、ぜひ一度ご相談ください。